「泣いてもいいよ」ステッカー

WEラブ赤ちゃんプロジェクト「泣いてもいいよ」ステッカー

電車やバス、飲食店で、突然泣き出してしまった赤ちゃんを、慌てて泣き止ませようと一生懸命な親御さんに「大丈夫ですよ、暖かく見守っていますよ」という思いを、もっと手軽に示せたら。2017年、紫原明子の呼びかけに賛同してくださったエキサイト株式会社の皆さんと、WE ラブ赤ちゃんプロジェクトをスタートしました。スマートフォンやパソコンの裏に貼って気持ちを伝える「泣いてもいいよ」ステッカーは日本全国に広まり、現在多くの自治体や企業に賛同・協賛いただいています。

「WEラブ赤ちゃんプロジェクト」公式サイト

こんな風に始まりました


始まりはある日の午前中。とあるコーヒーショップでの出来事でした。

私を含む多くのノマドワーカーや、テキストを広げて勉強中の学生、おしゃべりに花を咲かせる女性達など、多くのお客さんで賑わっていた店内。私の向かいの席には、赤ちゃん連れのママさんが座っていました。

赤ちゃんは最初のうちぐっすりと眠っていましたが、途中目が覚めると、途端に元気よく泣き始めました。もともと、がやがやとしていた店内に、多少赤ちゃんの泣き声が響いたところで個人的には全く気にならなかったけれど、それでもお母さんは周囲にとても気を使って、一刻も早く泣き止ませようと、懸命に赤ちゃんをあやします。

そんな様子にふと、昔の自分のことを思い出しました。
私の子どもは、今では14歳と10歳、もう随分手も掛からなくなったものの、2人が赤ちゃんだったころにはやっぱり、目の前にいるお母さんと同じように、周りの人に迷惑をかけてはいけないと、いつも努めて気を張っていました。

それでも一度、ショッピングモールのレストランで子どもが大きな声を出してしまい「うるさい、出て行け」と近くのテーブルのおじいさんに怒鳴られたことがありました。

気をつけていたはずなのに迷惑をかけてしまった、そんな親としての不甲斐なさがこみ上げてくるのと同時に、子どもはそんなにも社会のお荷物なのだろうかという気持ちと、子を守る者として、決して社会に甘えてはいけないのだという心細さと、色々な感情が入り混じって、つい涙が出てしまいました。

目の前のお母さんも、当時の私と少なからず似た気持ちを抱えているのだと思うと、赤ちゃんの泣き声は全く気になりませんよ、大丈夫ですよ、という気持ちを何とか少しでも伝えなければと思いました。

それで、赤ちゃんに向かって笑いかけたり、私の出来得る最大限の温かい眼差しを送ったりもしてみたけれど、一方で、他人からの熱い視線というのは、ともすれば「うるさくてじろじろ見ているのかも」といった、真逆の意味にも捉えられかねず、そうなると余計にお母さんを追い詰めてしまうかもしれません。

せめて、「可愛いですね」なんて気さくに声を掛けてあげられるといいのだけれど、なかなかそこまでの勇気が出せず……。もっと気軽に、「大丈夫ですよ」の気持ちを伝えられる方法があればいいのにと、強く思いました。

そんなときふと目に入ったのが、目の前で“どや”と言わんばかりに意識高く広げられていた私のノートパソコンです。仕事をしている風を装おってその実、TwitterとFacebookしか開かれていませんでした。

IT業界では昔から、広報の一環として、企業やサービス名のロゴのステッカーをお客さんに配る習慣があり、受け取った人の多くは、それらステッカーを、ノートパソコンの天板やスマートフォンの背面に貼ります。例によって私のノートパソコンにもたくさんのステッカーが貼られていたわけですが、ここにもし「私は赤ちゃんが大好きですよ」「赤ちゃんが泣いても全然気にならないですよ」といったメッセージが明示されたステッカーが、さりげなく貼られていたとしたら。

そしてそれが、向かいに座っているお母さんの目に入ったとしたら。ほんの少しでも、目の前のお母さんの焦りや不安を軽減してあげられるのではないかと思いました。

https://woman.excite.co.jp/article/child/rid_E1461544697167/
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